公益社団法人青少年育成広島県民会議

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青少年育成カレッジ実施報告

平成24年度第二回総合講座

第二回青少年育成カレッジ総合講座のご報告
平成24年12月1日(土)に県立広島大学広島キャンパスにおいて,
「少年非行について考える」というテーマで開催しました。



第1,2講義
「発達障害と少年非行」
  永吉 美香  県立広島大学保健福祉学部作業療法学科


●発達障害とは(発達障害者支援法第二条第一項)
  1. 自閉症,アスペルガー症候群,その他の広汎性発達障害(ASD)
    特徴・・・・ 一方的に話す,き真面目過ぎる,予定が急に変わると混乱する,負けることが許せない,人が怒っていることに気付けない等
  2. 学習障害(LD)
    特徴・・・・ 全般的な知的発達に遅れはないが,聞く,話す,読む,書く,計算する,推論する能力のうち特定のものの習得と使用に困難をきたす等
  3. 注意欠陥多動性障害(AD/HD)
    特徴・・・・ 気が散りやすい,忘れ物が多い,授業中立ち歩く,姿勢が保てない,思いつきで行動する,順番を待てない等
  4. その他これに類する「脳機能の障害」
    その症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるものであって,保護者の育て方や躾によるものではない。
●支援の考え
  1. できるための「環境」をつくる
  2. 追い詰めない大人(叱ったり,せかしたりばかりしない)
  3. 混乱させない理解ある関わり(必要なとき助けてくれ,信頼できる他者となる)
  4. 支援のためのネットワーク作り
●発達障害と二次障害
  • 発達障害児の犯罪率が高いのではなく,周りの正しい理解と支援が得られなかったとき,結果として二次的に,非行・犯罪に結びつく可能性がある。
●発達障害児への対応
  • 本人の個性を認め,多数者と同じに振る舞うことを強要せず,自分らしく,かつ周りと折り合いながら生活できるよう手助けする。
●まとめ
  • 非行の要因は様々であり,通常の育ちの一過程である場合も多い。非行に陥った少年を社会の大事な一員として認め,支援し,受け入れていくことが大事である。


第3講義
「当事者から学ぶ非行」
  高坂 朝人
   愛知・ 南保護区BBS会会長
   NPO法人セカンドチャンス!副理事長


●非行のきっかけ
  • 父,母,弟という4人家族で育つ。
  • 家は,極端に貧乏ではなかったが,2DKのアパート住まいだった。
  • 小学生の頃は,非行歴もなく,勉強もスポーツもそこそこできたが,中学校に入学してから勉強もスポーツも他の人に比べてダメだと思い劣等感を抱くようになった。その頃から,校則違反で先生に注意を受けはじめ,最初,先生が怖かったが一度反抗すると,一部の友だちから「スゴイじゃん」と言われ快感を得る。それを契機に髪を染め,人を殴り,バイクを盗んでは乗り回すようになった。
●11年間は非行真っ最中
  • 14歳で広島の暴走族に入り,17歳で約10チームの暴走族の連合の総長となる。その後,鑑別所3回,少年院2回,拘置所1回,逮捕歴15回と犯罪を繰り返した。四国の少年院に入所した時母親は,広島から四国まで再三面会にきてくれ,母親に感謝の気持ちを持ったが,21歳でやくざの準構成員となり,やくざの企業舎弟として株式会社の代表取締役になった。
●生き直しのターニングポイント
  • 24歳の時妻が妊娠し,父親として自分の子どもを生まれながら不幸にすることはできないと思い,やくざと縁を切る決意をし知人が誰一人いない名古屋に二人で逃げた。
●名古屋での暮し
  • 老人ホームの介護職をした後,知的障害者のケアホームに就職。平成24年に介護福祉士合格。平成25年にはケアマネージャーの資格を取得すべく勉強をしている。
●自立
  • 18歳の時に少年審判を担当してくれた弁護士,自分のために泣いてまで裁判官に訴えてくれた家庭裁判所調査官,保護司,警察官,いろいろな人との関わりや支えがあってここまで立ち直れた。また,何度悪い事をしても,母親は見捨てなかったし,両親に愛されていたことも根底にあったと思う。
  • 現在は介護福祉士として働きながら,日本福祉大学で学んでいる。非行少年と友達になるBBS活動,非行の親の会の世話人として少年事件での付添人,NPO法人セカンドチャンス!副理事長・中部地区エリアリーダーとして多くの活動する傍ら,大学,保護司会,非行の親の会,少年院などで講演活動を行なっている。
●将来の展望
  • 高齢者,障害者,子どもが,共に心から笑い合い,共に成長し合えるようなホームを作りたい。スタッフは,8割以上が元非行少年,現役の非行少年で運営したい。「非行少年はダイヤモンドの原石」。罪を犯した少年たちも1対1で話すと,素直で純粋,自分を表現するのが不器用なだけ,「前を向こう」としている少年たちを支援したい。


第4講義
「非行について考える」


1~3の講義を受けて,4時限目は,永吉講師,高坂講師,当時,高坂さんを担当した広島総合法律会計事務所の秋田弁護士にご登壇いただき,非行に陥った青少年が立ち直るための手段や方法,また,その家族を周りで支える相談機関など,専門的な立場からご助言をいただいた。その後,聴講生との意見交換をし,理解を深めていった。


「認証状」授与式

青少年育成カレッジでは,所定の20単位(1講座を1単位)を修得された方に,学習したことを評価して「認証状」を授与しています。これまで30名の方が修得されていますが,平成24年度,新たに7名の方が修得されました。