公益社団法人青少年育成広島県民会議

会員募集

平成19年度夢配達人プロジェクト〜神石高原町立二幸小学校〜

絵本作家に手伝ってもらい,
神石高原町を舞台にした絵本を作りたい

みんなで協力して町を舞台にした絵本を作ります!
 町を舞台にした絵本を作成し,昨年の不審火で不安になった町を少しでも明るくしたい,こうした希望を絵本作成の夢に託し,平成19年11月19日(月)取材を開始しました。
 神石高原町中平の「トマト団地」で,農業小田原さんからハチを利用したトマト栽培について説明を聞き,熱心にメモをとる3・4年生
 トマトの受粉に利用するマルハナバチや巣箱の説明を受けている様子

※このハチは,蜜を集める事はしないで,花から花へ受粉を行う種類のハチで人にも危害を加えないとのことです。

 

 新内農園では,こんにゃくの生産について説明を受けました。
 H20年度に夢を実現するための第一歩として,学校・地域の人が集まり,H19年11月26日(月)に二幸小学校で,初めて,夢配達人プロジェクト実行委員会を開催し,夢実現のための体制・計画等をみんなで話し合いました。
町を舞台にした絵本の作成に向け,12月19日(水)2回目の取材を行いました。
 「ながの村」の土屋村長の案内で,神石高原町 下帝釈峡(しもたいしゃくきょう)にある幻(まぼろし)の鐘乳洞(しょうにゅうどう)の探検取材を行いました。
 高低差150mの落葉の密集した山道を下り,渓流(けいりゅう)に沿い歩いているところ。
 渓谷(けいこく)から険(けわ)しい断崖(だんがい)をはしご伝いによじ登り,鐘乳洞に向かっているところ。

    (鍾乳洞入口)

 

 広島県で一番長い(約740メートル)鍾乳洞を探索(たんさく)しました。

           (冬眠中のコウモリ) →

 南アフリカ共和国と神石高原町の世界に2例しかない大きなカルサイトテーブル
児童一人一人が,「ながの村」土屋村長に鐘乳洞取材の感想とお礼の言葉を述べました。
町を舞台にした絵本の作成に向け,2月20日(水)3回目の取材を行いました。
 今回は,町名の由来を調べるため,神石という名称の発祥(はっしょう)の地とされる亀石(かめいし)に,児童16名で行きました。
 郷土史研究家(きょうどしけんきゅうか)の梅岡先生の案内で,神石の歴史をきざむ明見神社(みょうけんじんじゃ)と円墳(えんぷん)を取材しました。
 鳥居(とりい)を抜け神社本殿に向かいました。
 神石という名前は,日本書紀(にほんしょき)に出てくる加女志(かめし)から,亀石(かめし)→神石(かめし)→神石(かみいし)→神石(じんせき)になったとのことです。
 円墳の上で熱心に説明を聞く子どもたち。
「(未掘古墳なので)発掘調査すると,重要遺物が出てくるだろう。」とのこと。
 その後,有井城跡(ありいじょうあと)に移動し,郷土史研究家の吉本先生から城主(じょうしゅ)馬屋原(うまやはら)氏と有井城について説明を聞き,子どもたちは熱心にメモをとっていました。
梅岡さん,吉本さんどうもありがとうございました。
町を舞台にした絵本の作成に向け、3月4日(火)最終回となる4回目の取材を行いました。
 仙養ケ原(せんようがはら)に伝わる伝説について取材した後、前原牧場に行きました。
 仙養ケ原では、吉川さんから仙養ケ原の地理・歴史・伝説を教えていただきました。

 仙養ケ原の地盤を構成(こうせい)する玄武岩(げんぶがん:火山岩の一種)を手にする子ども

 神石高原町には、大阪以西に4本しかないと言われる天然記念物の“シダレグリ”があります。
 弘法大師が、子どもでも栗を手軽に採れるよう、栗の木を逆さ杖でついて低くした(しだれさせた)という言い伝えが残されています。こうした言い伝えが示すとおり、現在でもシダレグリの横には大師堂(たいしどう)が各々設置されています。

 前原牧場では、牧場内にいる牛を見学し前原さんから、黒毛和牛(くろげわぎゅう)について教えていただきました。

 現在、牧場には牛が102頭いますが、昨今の飼料高騰で大変なようです。
 「どの牛も同じように見えるけど、皆と同じように、一頭一頭牛も顔が違うんですよ。よく見ると本当にかわいいんです。」
 「お金目的では牛を飼うことができない。牛が好きでないと飼えません。」
 子どもたちへ笑顔で語りかける前原さんのまなざしから、牛を飼うことへの情熱(じょうねつ)がひしひしと伝わってきました。

 最後に、子どもたちは、吉川さんと前原さんにお礼を述べ取材を終えました。
10月17日(金),二幸小児童全員が,体育館で絵本の完成発表を行いました。

 子どもたちは,プロジェクトを支援してくださった方に感謝の言葉を述べ,完成した絵本を手渡しました。

 そして,スクリーンに映し出された絵本の各場面を背景に,子どもたち一人一人が「にこのゆめ」を感情豊かに身振りを交え朗読しました。

 朗読に続いて夢配達人の池田先生の講演。
 池田先生は,絵本における本文の重要性についてお話され,子どもたちの描いた絵だけではなく,文章力に大変感心されていました。

 また,子どもたちが,国語の教科書(大阪書籍「つり橋渡れ」)の挿絵(さしえ)を見て(心を動かされて)武富まさえ先生に,絵本の作成指導をお願いしたことについて,「絵描きにとってこれほど名誉なことはない。絵描きは,絵を上手に描くことではなく,見た人が心を動かされる,そんな絵を描きたいと思っているからです。」とその心情を教えてくださいました。
 講演では,お祝いにかけつけた(武富さんと親交のあった)絵本作家,ひらのてつお先生と川上尚子先生も,武富先生との思い出話等をしてくださいました。
 また,ひらの先生は,子どもたちの抑揚(よくよう)をつけた絵本の暗唱朗読を絶賛。そして,武富先生の遺作品(いさくひん)となった未完成絵本「まんげつおばけたいかい」の下絵を基に,8人の仲間(絵本作家)が協働作業で完成させた秘話をしてくださいました。
 武富先生と大親友だった川上先生は,武富先生の明るい人柄を偲(しの)びながら,数々の思い出を話してくださいました。
 講演の後,子どもたちは,池田げんえい先生から,(絵本完成のお祝いに)金メダルを首にかけてもらいました。
池田先生特製の金メダル。メダルの裏には,先生の住所と連絡先が刻印
 ひらの先生からは,絵本「星のしずくとさばくのゆうしゃ」・「タッくんとチーちゃんのこもりうた」,そして絵本仲間と協働作成した(武富先生の遺作品)絵本「まんげつのおばけたいかい」とその原画の一部を,川上先生からは,絵本「ふしぎなふしぎなおきゃくさま」と紙芝居「なぜ,おひなさまをかざるの」を学校に寄贈(きぞう)していただきました。さらに,川上先生から,先生ご自身が描いた絵葉書が子どもに手渡されました。
川上先生からの絵葉書 寄贈された絵本・色紙

発表会場に展示された絵本の原本や活動記録等

活動状況を取上げた新聞記事等 絵本の原画等
絵本の原画等 絵本の原画等
子どもの貼り絵作品 子どもたちの新聞投稿
夢配達人等との集合写真
絵本の完成発表会の模様は,神石高原町の広報誌(10月号)においても紹介されています。
11月2日(日),二幸小児童全員が,中国新聞社ホールで開催された「青少年育成県民運動推進大会」で,絵本を朗読しました。
 この日,集まった観客は約450人。子どもたちは,大勢の観客を前に全く気後(きおく)れすることなく堂々とした大きな声で,絵本「にこのゆめ」を朗読。朗読後,場内は大きな拍手に包まれました。
子どもたちは,朗読発表前,知事に絵本を手渡し一人一人握手をしていただきました。